「9月の半ばごろ、夜の9時頃のことでした。懐中電灯を持って外庭に行くと、家の前の小道に近い西側の孟宗竹の端あたりから、カサカサとうり坊がミミズをあさるような音がしたのです。」

「やはり、うり坊は孟宗竹の西側に来ていたのですね」と町会長。

「それを確かめようと、懐中電灯をかざして、西側に向かうと、うり坊が小道に出て、門がある東側に向かって走る音が聞えました。」

「うり坊は見えなかったのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。小道は、リュウノヒゲが生えている1メートルほどの高さの土手向こう側にあるので見えなかったのです。」

「小道は東に向かって門の先まで伸びているのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。うり坊がいたのは僕の位置からは南西の方向になるのですが、小道沿いに門を通り越して逃げるしかないだろうと考えていました。」

「なるほど」と町会長。

「門の方に向かいながら懐中電灯をかざしてみたのですが、土手の向こうなので、小走りに走る音が聞こえるだけでした。」

「なるほど」と町会長。

「門の近くまで来れば土手が低くなるので、2匹のうり坊が見えると思っていたのですが、なんと、立派なイノシシが2匹門のところから顔を出したのです。」

「成長して4歳になったイノシシが2匹門のところから顔を出したのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。先ほど話したように、雄のイノシシの平均寿命は6年なので、4歳になると、立派なイノシシになってしまうのです。」

「なるほど」と町会長。

「門のところから成長したイノシシが2匹顔を出したので、ギョッとしましたね。」

「渡辺さんも門の方に向かっていたのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「武器は持っていたのですか」と町会長。

「武器になりそうなのは、手に持っている大型の懐中電灯だけでした。」

「それで、渡辺さんは、どうされたのですか」と町会長。

「全速力でイノシシに突進しました。」

2021/12/13

<水道後記84>
水道メーターの所から1メートル弱掘ると、2年ほど前に水道屋さんが修理した箇所が現れた。そこから駐車場の北西の角の近くに向かって地面に線を引いた。そして、道具を小さなスコップからツルハシに変えて、引いた線に沿って、穴掘りの作業を始めた。

まず、ツルハシの尖った方を地面に15cmほど打ち込んで硬い表層を砕いた。できれば表層の部分も10cm幅で底も10cm幅にしたかったが、表層の土がおおきな塊となって剥がれるので、表層に近い部分は20cmほどの幅になってしまった。

次に、オカメジョレンで表層の砕け散った土を脇にどけた。ここからが本格的な穴掘りだ。土が少し柔らかくなって来ているので、ツルハシを頭上に振り上げて尖った先を30cmほど打ち込む。

打ち込んだ時、柄をつかんでいる手も地面に近い所に振り下ろす。そして、柄の部分を上方に向かって引き上げると、テコの原理で打ち込んだ尖った先が土を押し上げるので穴が掘れる。

筆者は腰痛持ちではないが、この作業を数回繰り返すと腰に鈍痛を感じるようになったので、小さなスコップで掘り起こした土を外に出す作業に変えたりしながら作業を続けた。底はツルハシの7cmほどの幅の平べったい刃の先を地面に平行に近い角度で打ち込んで削り取るようにしたら、幅が10cmくらいになった。<続く>

2024/11/27